運送業許可の相談で、運行管理者の話は皆さんご存じでも、整備管理者のほうは見落とされがちです。
ところがこちらも、許可を取るために欠かせない人です。しかも緑ナンバーは1両からでも選任が必要で、運行管理者より条件が厳しい面があります。
整備管理者とは何をする人ですか?
トラックの点検・整備を管理する責任者です。営業所ごとに置きます。
- 日常点検の実施方法を定め、その結果から運行の可否を決める
- 3か月ごとの定期点検を実施する計画を立て、実行する
- 点検整備記録簿を管理し、保存する
- 整備を行う場所や施設を管理する
- 運転者や整備員に対し、必要な指導・監督を行う
運行管理者が「人と運行」を見るのに対し、整備管理者は「車」を見ます。どちらも巡回指導で必ず確認される役割です。
何台から必要ですか?
| 車両の種類 | 選任が必要な台数 |
|---|---|
| 事業用自動車(緑ナンバー) | 1両以上 |
| 自家用の大型バス | 1両以上 |
| 自家用の中型バス | 2両以上 |
| その他の自家用自動車 | 5両以上または10両以上 |
貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)は対象外です。
一般貨物の許可には最低5両が必要ですから、許可を取るなら整備管理者は必ず要るということになります。
誰が整備管理者になれますか?
なり方は2つあります。どちらか一方を満たせば大丈夫です。
その1 自動車整備士の資格を持っている
一級・二級・三級の自動車整備士技能検定に合格した方は、それだけで要件を満たします。研修を受ける必要もありません。
社内に整備士資格を持つ方がいれば、この道が一番早いです。
その2 実務経験2年+選任前研修
整備士資格がなくても、次の2つを満たせばなれます。
- 同じ種類の自動車の点検・整備、または整備の管理に関して2年以上の実務経験がある
- 地方運輸局長が行う整備管理者選任前研修を修了している
実務経験2年に入るもの・入らないもの
ここが一番わかりにくいところです。国土交通省は、次のように整理しています。
「点検・整備に関する実務経験」に入るもの
- 整備工場や特定給油所などでの整備業務の経験
- 工員として実際に手を下して作業を行った経験だけでなく、その管理的な業務の経験も含まれる
- 自動車運送事業者で点検・整備を行った経験
「整備の管理に関する実務経験」に入るもの
- 整備管理者としての経験
- 整備管理者の補助者として車両管理業務を行った経験
- 整備責任者として車両管理業務を行った経験
「同じ種類の自動車」は2つに分かれるだけ
ここは誤解されやすい点です。「同種類の自動車」は、次の2つに分かれるだけです。
- 二輪自動車
- 二輪自動車以外
つまり、乗用車の整備経験でも、トラックの整備管理者の要件を満たします。大型トラックの経験がなければだめ、ということはありません。
また、整備工場で複数の車種を扱っていた場合は、その扱っていたすべての車種の実務経験があるものとして扱われます。
入らないもの
一番多い勘違いが、運転の経験は実務経験に入らないという点です。トラックを20年運転してきた方でも、点検や整備に関わっていなければ2年には数えられません。
洗車や給油だけを行っていた場合も、整備の実務経験にはあたりません。
実務経験は、勤務先の証明書で示します。自社での経験なら自社が証明し、以前の勤務先での経験ならその会社に証明をお願いすることになります。
選任前研修は先に受けておく
選任前研修は各運輸局が実施します。年に数回しかなく、定員もあるため予約が必要です。
ただし、この研修には使い勝手のよい決まりがあります。
どの運輸支局が実施した選任前研修であっても、また、いつ修了した研修であっても認められます。
つまり、兵庫県の日程が合わなければ他府県で受けてもかまいません。何年も前に受けた研修の修了証が残っていれば、それも使えます。
許可申請の直前に「研修がまだだった」と気づくと、次の開催を待つことになります。許可を考え始めた段階で、誰を整備管理者にするか決めておいてください。
選任したら15日以内に届出
整備管理者を選任したら、選任した日から15日以内に運輸支局へ届け出ます。解任したときも同じです。
届出には、資格を証明する書類を添えます。
- 整備士資格で選任する場合 → 整備士手帳または合格証のコピー
- 実務経験で選任する場合 → 実務経験の証明書と、選任前研修の修了証のコピー
届出を忘れると、行政処分の対象になります。
選任後も2年ごとに研修があります
整備管理者になったあとは、2年に1回の選任後研修を受ける義務があります。運行管理者の一般講習と同じ考え方です。
巡回指導では、この受講記録も確認されます。受け忘れると指摘を受けますので、受講した年を台帳に控えておくことをおすすめします。
よくあるご質問
Q. 運行管理者と整備管理者を同じ人が兼ねてもよいですか?
兼ねることができます。小規模な事業者では、社長がどちらも務めるケースが多くあります。ただし、実際に両方の業務を行える体制であることが前提です。
Q. 乗用車しか触ったことがなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。「同種類の自動車」は二輪とそれ以外に分かれるだけなので、乗用車の整備経験でトラックの整備管理者になれます。
Q. 整備工場を持っていないとだめですか?
自社で整備工場を持つ必要はありません。整備は外部の工場に委託できます。整備管理者は、その委託先を含めて整備の実施を管理する立場です。
Q. 黒ナンバーでも整備管理者は必要ですか?
貨物軽自動車運送事業は対象外です。ただし日常点検や定期点検の義務はありますので、点検自体を省略できるわけではありません。
運送業許可のご相談はお気軽に
整備管理者は、誰を選ぶか・研修が要るかどうかで、許可の時期が動く要素です。早い段階でご相談ください。
行政書士なかお事務所は、姫路市を中心に兵庫県全域で運送業許可を専門に扱っています。代表は運行管理者(貨物)の資格を持っており、許可を取るまでの書類だけでなく、取った後の実務までご説明できます。
お電話 070-9002-2658 9:00〜20:00(土日祝も対応)
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