一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)の許可を取るには、細かな条件がいくつもあります。ただ、大きく整理すれば5つです。
車両・営業所・車庫・人・資金。このどれか一つでも欠けると、許可は下りません。
この記事では、5つの要件を一つずつ表で整理します。とくにつまずきやすいのは「車庫」と「資金」です。そこは重点的に説明します。
運送業許可の5つの要件を一覧で
| 要件 | 主な基準 | 難易度 |
|---|---|---|
| 1. 車両 | 営業所ごとに5台以上 | ★☆☆ |
| 2. 営業所・休憩施設 | 用途地域に適合していること | ★★☆ |
| 3. 車庫 | 前面道路6.5m以上、営業所から10km以内 | ★★★ |
| 4. 人員 | 運行管理者・整備管理者・運転者5名 | ★★☆ |
| 5. 資金 | 所要資金と同額以上の自己資金 | ★★★ |
このほかに損害賠償能力(任意保険)と、役員法令試験があります。順に見ていきます。
要件1|車両は何台必要ですか?
営業所ごとに5台以上です。4台以下では取得できません。
| 台数 | 5台以上(営業所ごと) |
| 調達方法 | 新車・中古・リース・自己所有いずれも可 |
| リースの場合 | 契約期間が1年以上であること |
| 含められない車両 | 軽自動車、二輪車 |
| 特例 | 霊柩運送、離島での運送などは5台未満でも可 |
台数さえそろえばよいので、5つの要件のうち最も判断しやすい部分です。ただし、台数を優先して極端に古い車両を集めると、整備費用がかさんで運転資金を圧迫します。車両費と運転資金のバランスは、資金計画の段階でご相談ください。
要件2|営業所はどんな場所でもよいのですか?
いいえ。用途地域の制限があり、住宅地には置けません。
| 用途地域 | 第一種・第二種低層住居専用地域は不可/市街化調整区域は原則不可 |
| 関連法令 | 都市計画法・建築基準法・農地法に抵触しないこと |
| 賃貸の場合 | 契約期間2年以上、または自動更新の条項 |
| 使用権原 | 自己所有なら登記事項証明書/賃貸なら賃貸借契約書 |
| 広さ | 事務作業ができること(明確な面積基準なし) |
休憩・睡眠施設も必要です。営業所か車庫に併設します。
| 睡眠が必要な運行がある場合 | 1人あたり2.5㎡以上 |
| 日帰り運行のみの場合 | テーブルと椅子のある休憩スペースで可 |
「自宅の一室を営業所にしよう」とお考えの方は要注意です。ご自宅が第一種低層住居専用地域にあると使えません。物件を決める前に、必ず用途地域をご確認ください。姫路市のホームページで調べられますが、当事務所でも無料でお調べします。
要件3|車庫の条件がいちばん厳しい
5つの要件のうち、最も多くの方がつまずくのがここです。
| 営業所からの距離 | 併設が原則。離れる場合は10km以内(東京23区・大阪市などは20km以内) |
| 前面道路の幅員 | 6.5m以上が目安。道路幅員証明書で証明 |
| 広さ | 全車両を止めて、車両と車両・車両と境界の間に50cm以上の間隔 |
| 地目 | 農地(田・畑)は不可。市街化調整区域でも青空車庫なら可 |
| 賃貸の場合 | 契約期間2年以上、または自動更新の条項 |
幅員6.5mという基準が、姫路・播磨エリアでは特に効いてきます。この地域は古くからの街道沿いに集落が形成されており、見た目には広くても6.5mに届かない道が少なくありません。
広さも値段も条件に合う土地を見つけて契約したのに、幅員が足りずにやり直し——実際によくある失敗です。契約書に判を押す前に、必ずご確認ください。
要件4|どんな人を何人そろえるのですか?
3種類の人員が必要です。資格者の確保に時間がかかるため、早めに動く必要があります。
| 人数 | 資格・条件 | 運転者との兼務 | |
|---|---|---|---|
| 運行管理者 | 1名以上(車両29台まで) | 運行管理者試験(貨物)合格、または実務経験5年+講習5回以上 | 不可 |
| 整備管理者 | 1名以上 | 三級以上の自動車整備士、または実務経験2年+選任前研修 | 可 |
| 運転者 | 5名以上 | 常勤であること | — |
運転者は常勤である必要があります。日雇い、2か月以内の期間雇用、試用期間中の方は認められません。
「運行管理者の資格を持った人がいない」——このご相談は非常に多くいただきます。試験は年2回で申込期限が早いため、許可を取ろうと思った時点ですぐスケジュールを組む必要があります。
また、運行管理者は運転者と兼務できません。「社長が運行管理者をやって、自分も運転する」ということはできない、という点にご注意ください。整備管理者のほうは兼務できます。
要件5|自己資金はいくら必要ですか?
「所要資金」と同額以上の自己資金が必要です。決まった金額はなく、事業計画ごとに計算します。
| 項目 | 計上する期間 |
|---|---|
| 車両費 | 一括なら取得価格/分割なら頭金+6か月分 |
| 建物費・土地費 | 賃料12か月分 |
| 人件費 | 6か月分 |
| 燃料費・油脂費・修繕費 | 6か月分 |
| 保険料 | 12か月分 |
| 各種税金 | 1年分 |
| 登録免許税 | 120,000円 |
兵庫県での目安は1,500万〜2,500万円です。見落とされやすいのは人件費6か月分と賃料12か月分。「車両代さえ用意すればいい」と考えていると、計算した瞬間に足りないと分かります。
そして重要なのが、残高は申請時と申請後の2回確認されるという点です。一時的に借りて用意する「見せ金」は、2回目の確認でほぼ確実に発覚し、申請は却下されます。
5つ以外に必要なものは?
損害賠償能力(任意保険)
| 対人賠償 | 無制限 |
| 対物賠償 | 1事故あたり200万円以上 |
| 危険物を運ぶ場合 | 危険物賠償責任保険にも加入 |
役員法令試験
申請後、役員(個人事業主はご本人)が受ける試験があります。30問中24問以上で合格。2回落ちると申請が却下されます。
→ くわしくは役員法令試験は難しい?2回落ちると申請却下になりますをご覧ください。
要件を満たしたら、どこに申請するのですか?
兵庫県の場合、申請先は神戸運輸監理部です。他の道府県のように「運輸支局」へ出すのではありません。
→ くわしくは兵庫県で運送業許可を取るには?申請先は運輸支局ではなく神戸運輸監理部ですをご覧ください。
まとめ
- 車両——営業所ごとに5台以上。リースは契約1年以上
- 営業所——第一種・第二種低層住居専用地域は不可。賃貸は契約2年以上
- 車庫——前面道路6.5m以上、営業所から10km以内。最大の関門
- 人員——運行管理者は運転者と兼務不可。資格者の確保は早めに
- 資金——所要資金と同額以上。兵庫県で1,500万〜2,500万円が目安
- ほかに任意保険と役員法令試験
「この土地は車庫に使えるだろうか」「うちの資金で足りるだろうか」
契約や購入をする前にご相談いただくのが、最も失敗の少ない進め方です。物件の現地確認も、資金の概算も、無料で承っています。
姫路市を中心に、兵庫県全域で運送業許可をお手伝いしています。ご相談は無料。着手金をいただくのは、許可の見込みが立ってからです。
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