一般貨物自動車運送事業の許可を取ると、毎年2つの報告書を提出する義務が生じます。
事業報告書と事業実績報告書です。名前が似ているうえ、提出時期も対象期間も違うため、混同されている方が少なくありません。
そして、出していない事業者が実際にいます。「誰にも何も言われないから」と何年も放置されているケースもあります。しかしこれは法令違反であり、監査で発覚すれば処分の対象です。
さらに、許可が5年ごとの更新制に変わることが決まりました。これからは、この提出状況が更新審査で直接効いてきます。
2つの報告書は、どう違うのですか?
| 事業報告書 | 事業実績報告書 | |
|---|---|---|
| 提出期限 | 各事業年度の経過後100日以内 | 毎年7月10日まで |
| 対象期間 | 自社の事業年度(決算期) | 前年4月1日〜3月31日 |
| 内容 | 決算に関する事項(貸借対照表、損益計算書など) | 輸送実績(走行距離、輸送量、事故件数など) |
| 期限のタイミング | 会社ごとに違う | 全社共通 |
ここが混乱のもとです。片方は決算期に連動して会社ごとにバラバラ、もう片方は全社一律で7月10日。この違いを押さえておいてください。
事業報告書とは?
会社の経営状況を報告するものです。「事業概況報告書」と呼ばれることもあります。
提出期限は各事業年度の経過後100日以内。3月決算の会社なら、おおむね7月上旬が期限です。
添付するのは、貸借対照表・損益計算書といった決算書類です。税理士の先生が作った決算書があれば、そこから転記する形になります。
ご注意いただきたいのは、決算期によっては、事業実績報告書とほぼ同じ時期に重なるということです。3月決算の会社は、7月に2つまとめて出すことになります。
事業実績報告書とは?
1年間の輸送の実績を報告するものです。
対象期間は前年4月1日から3月31日まで。提出期限は毎年7月10日で、これは全国どの事業者も同じです。
報告する内容は、主に次のようなものです。
- 事業用自動車の数(年度末時点)
- 走行キロ数
- 輸送トン数
- 運転者の数
- 交通事故の件数
日報や運行記録がきちんと残っていれば、それを集計するだけです。逆に、日々の記録を付けていないと、この時期に大変な思いをすることになります。
どこに提出するのですか?
本社営業所を管轄する運輸支局の輸送担当課です。兵庫県の場合は、神戸運輸監理部になります。
営業所が複数あっても、本社を管轄する窓口へ一括で提出すれば足ります。営業所ごとに出す必要はありません。
→ 兵庫県で運送業許可を取るには?申請先は運輸支局ではなく神戸運輸監理部です
出さなかったら、どうなりますか?
法令違反です。監査で発覚した場合、行政処分の対象になります。
| 初違反 | 警告 |
| 再違反 | 10日車(車両の使用停止処分) |
「10日車」とは、車両1台を10日間使えなくする処分です。1台が10日間止まれば、その分の売上がそのまま消えます。
そして、処分よりも怖いのは次の2つです。
巡回指導で必ず見られます
適正化実施機関の巡回指導では、報告書の提出状況が確認されます。未提出があると評価が下がり、その結果によっては運輸支局の監査に進みます。監査に入られると、報告書以外の点まで細かく見られることになります。
更新制では、直接効いてきます
2025年6月に公布された改正法により、一般貨物の許可は5年ごとの更新制へ移行します。2028年6月までに全面施行される予定です。
更新の審査では、過去の法令遵守状況が問われます。毎年の報告書を出しているかどうかは、記録として残る、最も分かりやすい指標です。
更新の直前に慌てても、過去に遡って提出することはできません。今年の分から、確実に出しておく必要があります。
→ 【法改正】運送業許可が5年ごとの更新制へ|2028年までに何が変わるか
「うちは小さいから関係ない」は通用しません
よくいただくご質問です。
- 「車両5台だけの小さな会社でも必要ですか」——必要です。台数は関係ありません
- 「今年はほとんど動いていないのですが」——実績がゼロでも提出します
- 「個人事業主でも出すのですか」——出します。法人・個人を問いません
- 「何も言われないので出していません」——督促が来ないだけで、義務は消えていません
許可を持っている以上、例外はありません。
過去に出していない年がある場合は?
今からでも提出してください。
期限を過ぎていても、出さないままにしておくよりはるかに良い状態になります。「気づいて是正した」という事実が残るからです。
とくに更新制が始まる前の今が、整理しておく最後の機会です。過去の分をどう扱うかは、事情によって進め方が変わります。心当たりのある方は、一度ご相談ください。叱られることはありません。
作成を代行できます
当事務所では、事業報告書・事業実績報告書の作成と提出を承っています。
| 事業報告書・事業実績報告書の作成(年1回) | 55,000円(税込) |
| 顧問契約(毎月の相談・各種届出込み) | 月額22,000円〜(税込) |
顧問契約であれば、提出時期が来たら当事務所から声をかけます。「うっかり忘れていた」がなくなります。車両の増減車届出や、営業所・車庫の変更手続きも、その都度ご相談いただけます。
まとめ
- 事業報告書——各事業年度の経過後100日以内。会社ごとに期限が違う
- 事業実績報告書——毎年7月10日まで。全社共通
- 兵庫県の提出先は神戸運輸監理部
- 未提出は法令違反。初違反は警告、再違反は10日車
- 巡回指導で必ず確認される。評価が下がれば監査へ
- 5年更新制では、過去の提出状況が直接問われます
- 台数・実績ゼロ・個人事業主——いずれも例外なし
「今年の分、まだ出していない」「過去に出していない年がある」
そうお気づきになった時点が、整えはじめる好機です。更新制が本格化してからでは、遡って直せません。
姫路市を中心に、兵庫県全域で対応しています。ご相談は無料です。
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