「白ナンバーのトラックで、少しくらい運賃をもらっても大丈夫だろう」——これは、今いちばん危険な考え方です。
結論から申し上げます。他人の荷物を、運賃をもらって運ぶには、緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業の許可)が必要です。無許可で行えば、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります。
そして2025年6月に公布された改正法により、無許可の事業者に運送を委託した荷主側にも罰則が設けられました。これが状況を大きく変えます。順に説明します。
白ナンバーと緑ナンバーの違いは何ですか?
ひとことで言えば、他人から運賃をもらって運べるかどうかです。
| 白ナンバー(自家用) | 緑ナンバー(事業用) | |
|---|---|---|
| 運べる荷物 | 自社の荷物のみ | 他人の荷物も可 |
| 運賃の受け取り | 不可 | 可 |
| 必要な手続き | なし | 国土交通大臣の許可 |
| 運行管理者 | 不要 | 必要 |
| 点呼・日報 | 不要 | 義務 |
| 車検の期間 | 初回3年、以降2年 | 初回2年、以降1年 |
| 自動車税・保険料 | 高め | 安め |
緑ナンバーは義務が増える代わりに、税金や保険料は安くなります。「規制が厳しいぶん、優遇もある」という設計です。
どんな場合に緑ナンバーが必要なのですか?
次の3つがそろったときです。
- 他人の荷物であること(自社以外の荷物)
- 運ぶことに対して運賃を受け取ること
- 車両を使って運ぶこと
この3つがそろえば、反復継続する意思がある限り「運送事業」にあたります。「たまたま1回だけ」であっても、繰り返す前提であれば対象です。
白ナンバーで運賃をもらうと、どんな罰則がありますか?
貨物自動車運送事業法により、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科されることもあります)。いわゆる「白トラ」です。
なお、2025年6月1日の刑法改正により、これまでの「懲役」は「拘禁刑」に一本化されました。古い解説記事では「3年以下の懲役」と書かれていますが、現在は拘禁刑という表記になります。
罰則以外にも、実務上こうした不利益があります。
- 事故を起こしたとき、任意保険が支払われない可能性がある(用途が契約と異なるため)
- 発覚後に許可申請しても、審査で不利になる
- 取引先を失う
2025年の法改正で、荷主側にも罰則ができました
ここが最も重要な変化です。
2025年6月に公布された改正貨物自動車運送事業法により、無許可の事業者へ運送を委託すること自体が禁止され、違反した場合は100万円以下の罰金が科されうることになりました。
つまり、こういうことです。
これからは、荷主が「この会社は許可を持っているか」を確認したうえで発注する時代になります。
これまでは「バレなければいい」で済んでいたかもしれません。しかし今後は、荷主側が自分を守るために、許可の有無を確認せざるを得なくなります。
無許可のままでは、罰則を受ける前に仕事そのものが取れなくなっていく——これが現実的な影響です。
この改正は段階的に施行され、2028年6月までに全面施行される予定です。あわせて、一般貨物の許可は5年ごとの更新制へ移行します。
「運送料」ではなく別の名目ならよいのですか?
いいえ。名目を変えても、実質が運送であれば同じです。
「配送手数料」「作業料」「協力金」——どのような名前をつけても、荷物を運ぶことの対価として受け取っているのであれば、運送事業にあたる可能性があります。
実際、判断が微妙なケースは少なくありません。「うちの取引はどうなのか」と気になる方は、実際の契約の形をお聞かせください。無料でご相談に応じます。
自社の荷物を自社で運ぶのは?
許可は不要です。白ナンバーで問題ありません。
たとえば、こうしたケースです。
- 建設会社が、自社の工事で使う資材を現場へ運ぶ
- 建設会社が、自社の工事で出た土砂を処分場へ運ぶ
- 製造業者が、自社製品を自社の倉庫へ移す
ただし、他社から依頼を受けて運搬料をもらう場合は許可が必要です。建設業では、この線引きが曖昧になりやすい部分です。当事務所は建設業許可も扱っておりますので、両面からご説明できます。
軽自動車の場合はどうなりますか?
軽自動車で運送業を営む場合は、黒ナンバー(貨物軽自動車運送事業)になります。
| 黒ナンバー(軽・事業用) | 緑ナンバー(普通・事業用) | |
|---|---|---|
| 手続き | 届出 | 許可 |
| 必要台数 | 1台から | 5台以上 |
| 自己資金 | 要件なし | 1,500万〜2,500万円が目安 |
| 運行管理者 | 不要 | 必要 |
| 審査期間 | 即日〜数日 | 3〜4か月 |
黒ナンバーは届出だけで、1台から始められます。「まず黒ナンバーで開業して、規模が整ってから緑ナンバーへ移行する」——資金が足りない方が実際によく選ばれる道筋です。
当事務所では、黒ナンバーの届出も承っています(33,000円・税込)。
今から緑ナンバーを取るには?
必要なのは車両・営業所・車庫・人員・資金の5つの要件です。準備を含めると、相談から営業開始まで8か月から1年かかります。
→ 運送業許可の5つの要件とは?車両・営業所・車庫・人・資金を解説
兵庫県の申請先は神戸運輸監理部です。他の道府県のように「運輸支局」ではありません。
→ 兵庫県で運送業許可を取るには?申請先は運輸支局ではなく神戸運輸監理部です
まとめ
- 白ナンバーで運賃をもらって運ぶと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
- 2025年の改正法で、委託した荷主側にも100万円以下の罰金
- これからは荷主が許可の有無を確認する時代。無許可では仕事が取れなくなる
- 名目を「作業料」などに変えても、実質が運送なら同じ
- 自社の荷物を自社で運ぶなら許可は不要
- 資金が足りなければ、黒ナンバー(1台・届出のみ)から始めるという道もある
「うちの運び方は、許可が要るのだろうか」
判断に迷われるケースは少なくありません。取引の実態をお聞かせいただければ、許可が必要かどうかをお答えします。必要ないと分かれば、それでご安心いただけます。
姫路市を中心に、兵庫県全域で対応しています。ご相談は無料。着手金をいただくのは、許可の見込みが立ってからです。
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